2022年11月29日(火)

朝7時半頃起床。ココアをいれて読書。朝食は昨晩の残りのキムチ鍋とパン、柿。パンを早めに食べなくてはいけなかったのだけど、どうしてもキムチ鍋も食べたくてこの異様な組み合わせ。午前中は仕事。昼食はぶり大根、小松菜と人参の和え物、納豆ごはん。午後は昼寝してから読書。中村文則の「自由対談」を読み終わる。うんうんと頷くと同時に「これでいいんだ」と思えた以下の中村文則の発言。

いま、新人賞の選考委員もやってるんですが、読みながらいろいろ考えてしまうんです。乱暴に言ってしまうと、人間って、ひとりひとりを比べても大差ないんじゃないかと。じゃあ何が違うかといったら、経験と考え方なんですよね。

 でも、経験といっても、日本で暮らしていたら、特殊な経験をすることが少ない人も多い。そんな中でどれだけ工夫して、他人と違うものに触れるか。個性はそうやって生まれてくるものでもあると思うんです。いま松倉さんもおっしゃったみたいに、出会った本とか、そういうものってすごく自分に影響を与えてくれる。すぐ手に入るところにある流行の、向こうから提示されたものばかり素直に読んでいたら、結局みんなと似たような考え方しか持てない。新人賞の選考で、プロになる前の人の作品を読んでいるとそれが顕著で、バックグラウンドが弱いと感じることが多い。普段あまり読まないものに意識的に手を出すとか、よくわからないものを受け入れていくとか、そういうことって、個性を作る上ではすごく大切だと思う。

イラストレーター:松倉香子氏との対談より)

30数年生きてきて、いまの自分の思考を形成してきたものはなんだろうかと振り返ってみると、それは音楽と本、そして少しの映画かなと思う。「みんなと同じ」が理由もわからないけれど幼い頃からあまり好きではなくて、そのせいで流行り物にはあまり触れずに来たこと、加えて同じような性格の5歳上の姉の影響を受けまくって様々な音楽や本に触れてきたこと。それらがおそらくいまの自分の、数が多いという理由だけでは周りに同調しないような思考を形成してきてくれたと思う。現在の脱輪人生に至ったのはそのある種厄介な「思考」のせいでもあるのだろうけれど、それでもわたしはいま脱輪した人生もなかなか悪くないなと思えているので、流行り廃りではなく、自分が心から好きだとか美しいとか思えるものにひたすらに触れてきてよかったなと思う。それと同時に、これからもこうしてとにかく、自分が愛するものを愛し続けていくと同時に、貪欲に、まだ知らない本・音楽との出会いを求めてそれらに触れ続けていけたら、わたしはきっとこれからも生きていけるだろうと思える。だからこそ、そうしたものを生み出している書き手やミュージシャンたちには、本当に尊敬と感謝の思いしかない。

今日が誕生日の友人に久しぶりに連絡すると、現在3人目の子を妊娠中とのこと。新しい命がまた、世界を紡いでいく。