2023年7月1日(土)

朝5時前に起床。読書。1時間くらいしたら眠くなるだろうと思っていたのだけれど、予想外に眠気はやってこずそのまま起きていた。今読んでいるのは「チョンキンマンション 世界の真ん中にあるゲットーの人類学」(ゴードン・マシューズ著)。アメリカの人類学者である著者が、チョンキンマンションで行われる商売やそこを行き交う人々がどこから来て何を運びどこへ行くのかなどについて、10年以上をかけて行ったフィールドワークをまとめたもの。以前、星野博美の「転がる香港に苔は生えない」を読んだ時にも思ったけれど、香港という街、そしてそこで暮らす人々はとても「お金」に対して貪欲で、だけどのその貪欲さが逆に生み出す正直さというか素直さというかがあって、なんだか憎めない感じがする。著者が語るチョンキンマンションも、広く行き渡っているであろうイメージの通り、何か怪しいことが行われている形跡は確かにそこかしこにある(形跡というか実際に行われている)のだけど、それぞれが「儲ける」ことに関して正直であり、そこで一致できるなら国籍も宗教も越えた交流も多く存在している。ありとあらゆる文化の人たちが溢れすぎていて、些細な違いなどはもはや気にならなくなる、一種の寛容性があるのかもしれないと思う。2019年に香港に旅行に行ったときは、民主化デモがかなり激しくなっている時期(香港理工大学の占拠などもあった頃)で、香港の中でも特に大陸側の方がデモが激しかったため、安全第一ということで香港島しかほとんど歩き回らなかった。ので大陸側のチョンキンマンションがある尖沙咀(チムサチョイ)の辺りや旺角(モンコック)などにはまだ行ったことがない。チョンキンマンションは様々な国のレストランも数多くあり、最近は治安もかなり良くなってきたようなので、次に香港に行くときは行ってみたい(悲しいかな、民主化デモもすっかり静かになった)。

もう1冊。「源氏物語 A.ウェイリー版」も読んでいる。これは以前、斎藤美奈子氏の書評集を読んだときに知った本。「源氏物語」を英訳したものを、再び和訳したもので、いい意味でツッコミどころが満載で面白い。まず「源氏」は「プリンス・ゲンジ」であり、宮廷は「パレス」。その他「神無月」が「ゴッドレス・マンス」など、読んでいて非常に楽しい。お恥ずかしながら「源氏物語」の原作を読んだことがないのだけれど、斎藤美奈子氏の書評を読んで、ついこの変わり種からその世界に入ってしまった。

歌い終え、舞衣の長い袖を整え直したゲンジは、次の音楽を待ち、いよいよ第二楽章が華やかな音調で始まりました。頬を生き生きと紅潮させ、一心に舞う姿は、まさにゲンジ、ザ・シャイニング・ワン。

いやはや、面白い本って世の中に山ほどあるものですね。ザ・シャイニング・ワン。